思い出すたびに笑ってしまう事がある。
今年のお正月も実家にみんな集まった。
僕の甥っ子が急に、「魚釣りがしたーい!」と言ってきた。
甥っ子は都会っ子なので、実家のある田舎にくるといつも大はしゃぎしている。
すると僕の親父が、
「よし、行くぞ!」と張り切りだした。
親父と言っても、もう80歳を迎えたおじいちゃんだ。孫が可愛くて仕方ないんだろう。
そんなわけで、3人で近くの川に行く事になった。
親父にとっての川は自分の庭のようなもので、軽トラでどんどん奥に入っていく。
そしてとっておきのポイントに到着した。甥っ子は大はしゃぎしている。
ここで少し種あかしをすると、この話は甥っ子の話が主役ではなくて、実は僕の親父が主役になる。
ぶっこみ釣り(餌をつけて、投げて待つだけ)は誰でも簡単に釣れるけど、とても重要な事が一つだけある。
それは、いいポイント(投げた場所)に投げられるかどうかが重要で、それによって釣果が大きく左右される。
親父は僕の甥っ子に釣らせてあげたくて真剣だ。
「今日は大物が釣れそうだぞー!」
「ほんとー!じいじー!」甥っ子は興奮している。
親父が仕掛けを作り、後はいいポイントに投げるだけになった。
「よし、じゃあどこでもいいから好きなところに投げろ!」
「わかったー!」小さい体で思いっきり投げた!
「ボチャーン」
すると親父が、
「へたくそーーー!!どこ投げてんだーーー!!」
一瞬僕は固まった...。甥っ子もポカンとしている。
そしてもう一回投げ直し。
「今度はいいところになげるんだぞー!」親父は真剣だ。
ところが、
「じいじ投げて~」
甥っ子はショボくれているんだか、子供なりに気を使ったのか、
「あの辺に投げるんだ、よく見とけ!」結局親父が投げた。
結果、大物が釣れて甥っ子は大興奮していて、親父も満足げで楽しそうだった。
実家に戻り、親父は満足したのか、お酒を片手に寝てしまっていた。
そのすきに今日の事をみんなに話した。
「自分で好きなところに投げろって言っといて、へたくそー!はね~べぇ~笑」
みんな爆笑していた。親父らしいと。
くだらない話だけど、思い出すとつい笑ってしまう。
親父のおもしろ話は実はたくさんあるから、また書こうと思う。
僕はそんな親父が大好きだ。